会員インタビュー

カフェ×雑貨店の相乗効果で新規のお客さまも来店。ライフスタイル型カフェ「カフェ ド シャモニ」を訪問しました。

先代の珈琲専門店を夫婦で継ぎ、雑貨店の展開も始めた「カフェ ド シャモニ」。福岡市南区にあるこちらのお店では、マスターが淹れてくれるサイフォン式コーヒーを味わいながら洗練された雑貨やアパレルなどの買い物も楽しむことができ、近隣のお客様を中心とした憩いの場になっています。新型コロナウィルスの影響を機に物販に注力し、今ではお店の1/3が物販スペースに。そして昨年5月にはアパレルも扱う店舗もオープン。カフェと雑貨・アパレルの物販を掛け合わした相乗効果で集客力も高まっているというその様子を伺ってきました。

コロナ禍をきっかけに雑貨の販売に注力

カフェ ド シャモニは先代であるマスターのお父様が1977年に創業した珈琲専門店。それを8年ほど前にマスター夫妻が引き継ぎ、現在の場所に移転しました。そして「カフェとライフスタイルのショップ」をコンセプトに当初はコーヒーに特化したアイテムや店内で使用していた波佐見焼の食器類などを少しずつ販売しはじめました。というのも、マスターの阿部さんは以前アパレル業界で働いていたことや奥様もファッションが好きということから、いずれ店舗で雑貨やファッションアイテムの販売もしていきたいと考えていたそう。ただ、引き継いだ珈琲専門店をガラリと変えてしまうことに戸惑いも。そんなとき新型コロナウィルスの感染が拡大し、その影響でお店を閉めることに。

「コロナの影響で店内で飲食のサービスを提供することが難しくなったため、一度お店を閉めてその間に雑貨の販売スペースを広げることにしました。そして飲食はテラス席でコーヒーと軽食を提供する形にしました。」

従来通りのカフェの営業が厳しくなったため、それを補うために物販に注力し始めた阿部さん。コーヒーを飲みに来てくださるお客様にさりげなく物販を始めたことをお伝えしていったところ、徐々に雑貨の販売の認知が広がっていきました。

特に土地柄年配のお客様も多く、コロナ過で以前のように街中に行って買い物をするのを控えていた方々がカフェ ド シャモニに来れば買い物ができるということを知り、いまでは「ここに来ればちょっとしたお買い物ができる」と来店してくださるリピーターの方も多いのだとか。

(店内入ってすぐ左側が物販スペース。食器類やアパレル雑貨が陳列されてあり、窓の外からも様子が見れるようになっています。)

相乗効果の高いカフェ×雑貨・アパレルの物販でお客様を集客

雑貨の販売を始めてから日常的にリピートしてくださるお客様も増え、アパレルのニーズも高いことからカフェ ド シャモニがある敷地内に5坪ほどの雑貨店「piccolina(ピッコリーナ)」をオープンしました。こちらの店舗は阿部さんの奥様が経営されており、隠れ家的なお店として女性客の来店が増えています。

(商品が多くても狭さを感じさせず、ディスプレイを眺めているだけでも楽しくなる雰囲気の店内)

雑貨やアパレルの販売を始めてから一番メリットを感じているのは、どちらの店舗にも来店されるお客様が増えたこと。そこにはカフェと雑貨店の相乗効果の高さが表れています。というのも、カフェは比較的初めてのお店でも来店してもらいやすいですが、住宅街の中にあるお店などは入りづらさがあります。そこで阿部さんは、カフェをきっかけに雑貨店にも足を運んでもらえればと思い、雑貨店の商品の一部をカフェにも持ってくるなどお客様に興味を持ってもらえる流れを作りました。

「カフェ店内で販売しているアパレル商品に興味をもってくださったお客様に雑貨店をご紹介し、あちらだとゆっくり試着できますよ、ほかにもアパレル商品がありますよ、などとご案内しています。そうすることで雑貨店に直接来てくださるお客様も増えますし、日常的にリピートしてくださるお客様も増えてきました。」

雑貨店を始めたことで売上にも大きなメリットが出ています。カフェなど飲食店は集客しやすい一方で単価が低いので客数を増やさないといけないという面があります。回転数などを考えても売上に上限があるので、そこをカバーしてくれるのが物販です。実際に阿部さんの店舗も「予想していたよりも売れ行きが良く、雑貨店だけでも回していけるようになっています」とその効果を実感。

鮮度を出すために週1回は新商品を入荷

夫婦ともに洋服が好きなお二人。時間があればメーカーの展示会に出向き、店頭で販売する商品を探していたこともあったそう。ただ、お店を閉めなければいけないことや仕入れに行くのも時間や交通費がかかること、さらには都度メーカーとの口座開設の手間を鑑みて、もっぱらスーパーデリバリーを活用して常に新しい商品を探しています。

そんなお二人が雑貨やアパレルを販売するうえで重視しているのが、商品の鮮度を出すこと。特に最近はアパレル商品を購入されるお客様も多いことから、少なくとも週に1回は新しい商材を入れるようにしているのだとか。

「お店に来てもらったときにいつまでも同じものがあるのはあまり印象も良くないし、お買い物を楽しんでもらえないですよね。ですので、常に新しい商品を探して納品するようにしています。在庫も1点だけにして同じアイテムは入れないようにしているので、それもお客様にとっては『他と被らない』『1点もの』のような感じで好評なのかなと。」

(客層の年代も幅広いので、それに合った商品をセレクト。こちらのメンズ用サンブロスのTシャツの半袖版はこの夏大好評だったそう。)

松尾商店の波佐見焼はスーパーデリバリーでもロングセラーのアイテムですが、カフェ ド シャモニでも人気商品のひとつになっています。)

フラワーベースやちょっとした置物などの雑貨類は自宅用に購入されることも多く、価格帯的には1,000~1,500円くらいのものがお客様の反応が良いのだとか。

「ギフトというよりも、カフェに来たついでに自分用になにか買おうかな、というニーズが多いですね。なのであまり単価が高いと手に取ってもらえませんし、それこそカフェのメニューの単価と乖離があると『ちょっと違う・・』と違和感にもつながると思うので、比較的にお手頃なものを扱うようにしています。」

”ちょっとしたお買い物を楽しみたい”というお客様が多いからこそ、お客様の感覚と合わせた価格帯や感度の商品を扱うことが重要ですね。

喫茶店から徐々に「カフェとライフスタイルのショップ」として広げていき、美味しいコーヒーを味わいながらちょっとしたお買い物も満喫できるお店として地域の方に愛されているカフェ ド シャモニ。

洗練された店内の雰囲気もとても心地よく、阿部さんご夫妻も気軽にお話してくださる人となりからも、日常的にここに通いたくなるお客様の気持ちがわかる店舗でした。

販路制限を見直しませんか?

今回ご紹介した店舗のように、飲食店でありながらも商品の仕入れにはセレクトショップとしてのこだわりもあり、お客様の好みを把握しているからこそ品ぞろえも多岐に渡るケースは増えています。特にコロナ過をきっかけに売り上げの柱を増やす取り組みが増えており、今までは取り扱っていなかったジャンルの商品を求める事業者も少なくありません。そういったニーズに応えることで企業側にも取引の機会拡大にもつながるため、販路規制などを設定している場合は条件を見直してみてはいかがでしょうか。

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とくなが
飲食業、ペット業界担当。会員事業者への販売促進や出展企業への販売戦略提案なども含め、店舗運営やSDの運営に関するお役立ち情報を発信しています。

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